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野球の底力とは

このたびの東日本大地震の被災者、犠牲者の皆さまには心よりお悔やみ、お見舞いを申し上げる次第です。

被災地のフランチャイズ、東北楽天イーグルスの選手会長の嶋基宏捕手が、4月2日、札幌ドームの日本ハムとの慈善試合で「見せましょう、野球の底力を」と訴えた言葉に胸が熱くなった野球ファンは多いことでしょう。

野球に限ったことではありませんが、スポーツする人に、純粋に勝負に挑む人に、元気づけられ、感動をもらうことは少なくありませんね。

 

この「野球の底力」という言葉に、ふと、野球人のドラマや人間模様を描いた水島新司の代表作「あぶさん」のいちエピソードを思い出しました。

もう30年以上も前の作品なのですが、漫画とは言え、とても泣けてしまった記憶がよみがえりました。

こんなエピソードだったと記憶しています。

ある母親が男の子二人を連れて、野球を観にくる。

いつもは贅沢しないのに、球場でファン手帳とかお土産とか買ってやり、母親が「今日だけは特別だから・・・」と自分につぶやいている。


いくつかの回想場面を通じて、この母親が、旦那が他界してから貧困と世間の冷たさに苦労しながら長屋の様な家で二人の息子を育てて実態が語られてくる。

・・・で、この母親は「今日は特別・・」と、なけなしのお金を叩いてナイター見物に来て、ささやかな贅沢を子供たちに施している。

9回裏に逆転を狙う南海ホークスの代打は「あぶさん」。 あわや三振になりかけそうな状況でも、粘って粘って、最後に逆転サヨナラホームランを放つ。 

ダイヤモンドを一周するあぶさんはホームイン後に一塁を踏み忘れたことに気付き、また塁を全て踏みながら逆にダイヤモンドを回り、また一塁から踏みなおして無事ホームインする。

決して諦めずにボールに食らいつくあぶさんの粘りを観ていた母親は、その姿に感動し、塁を踏みなおして「合計10塁打だぁ~」と喜ぶ子供を見て自分も諦めずにやりなおそう、と決意する。


最後のシーンは、貧しい家の一間のちゃぶ台にスポットがあたっていて、外から、帰ってくる母子の子供の声が「ただいまぁ~」と。

そのちゃぶ台に上に「遺書」が乗っている。という一コマだったと記憶しています。

生活苦から親子心中を決めた母が遺書を残し、子供二人を連れて「せめて死ぬ前に楽しい想いを」と野球観戦に出かけるのだが、野球に元気づけられて心中をやめて帰宅する。そんなプロットでした。

漫画だし、フィクションだし、と言ってしまえばそれまでですが、野球はこのくらい人に元気を与えるパワーを持っていると思います。

この野球の力をあぶさんという主人公を通じて一遍のドラマに仕立てた水島新司の野球狂ぶりに、心から拍手です。

 


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